住宅改修
スロープと段差解消機
玄関の改修で悩むのがスロープと段差解消機の選択です。2つとも設置できるのがベターですが、そのようにいかないことも多くあるかと思います。
【玄関から自宅に入るのは、スロープか段差解消機か?】
公道から玄関に、または玄関の上り框(かまち)を車いすでどのように出入りするのが良いのでしょうか?
まず、スロープ(コンクリートでの工事、設置式)のメリットとデメリット、段差解消機のメリットとデメリットを整理しましょう。
・スロープ工事
メリット:電源を必要としないため地震などの有事にも問題ない。
デメリット:コンクリートによって照り返しがあり、部屋が暑くなりやすい。スペースが必要。
・設置式スロープ
メリット:安価(10万円以下)。工事が必要ない。工事しないので見た目が良い。
デメリット:毎回、設置するのが面倒。高低差があるとスロープが重くなり重労働。いつも介助者が必要。
・段差解消機
メリット:車いすの介助が必要ないので楽である。場所を取らない。
デメリット:高額(60万程度)。電源を失うと上昇ができない(下降は可能)
これらは補助が受けられるかどうかで経済性がかわります。介護保険では段差解消機のレンタルが可能ですが、総合支援法では多くの自治体が補助の対象外、または住宅改修費の枠内で実施です(自治体に確認が必要)。
事故の被害者の方でしっかりと住宅改修をされる方は経済面を気にしないことが多いので、スロープと段差解消機の両者を設置して有事のために2方向避難とすることがあります。ただし、多額の改修費用になると保険会社が保障として認めずに、裁判になることもあるので、弁護士等に相談した上で住宅改修について検討する必要があります。
なお、電源を失ったら動かないのは段差解消機だけでなく、電動リフトや電動ベッド、電動のマットレスなど福祉機器は多くあります。段差解消機を電源が失うのが怖いからやめるというのであれば、福祉機器も同様の考えのもと、使用することが困難です。対応方法としては非常用のバッテリーを持っていると安心です。また、簡易スロープを購入するのも1つの方法です。
【スロープの勾配について】
介助でスロープを移動する場合は介助者が押せる角度でいいのですが、自走の場合に課題があります。改修業者さんに勾配を任せたら10度で改修してしまい、勢いをつけないと上れないということがありました。
頸髄損傷のC6の方は6度、対麻痺の方は8度を軸に考えて調整しています。とにかく、実際にその勾配を体験してもらい最終決定することが必要です。
注意点としては、滑り止めを塗布してもらうこと、長いスロープになる場合は踊り場を設置すること、曲線のスロープは避けること、車いす幅より最低40センチ広いスロープにすること、転落防止のために両端に最低で5センチ以上の段をつけることです。
(2016.1現在)