再生医療
慢性期の再生医療
このページは私個人の主観を多く含むことをご理解の上、読み進めて下さい。
再生医療については、急性期である数週間〜数カ月までは脊髄の回復を期待できる時代が来るでしょう。ただ、その回復が再生医療なのか、神経の損傷を抑制するなどの薬剤なのか、自然治癒なのか、リハビリなのかは判断が非常に難しいと思います。
これは、現在においても脊髄の損傷がMRI画像上において1椎体の縦断面で8割とかなり損傷していても、装具を用いて歩行できる人がいることや、不全損傷の方は数年単位で回復することがあるからです。
慢性期の完全麻痺、不全麻痺でも感覚が少しあり運動はほとんどないという方に関しては、受傷数年以上で30才を超えると再生医療によっても歩行の再建はかなり困難ではないかと考えております。
その理由としては、筋肉が萎縮して変性しているため回復が容易でない。麻痺をした部分の脳の地図が変化していて、新しく再構築する必要がある。専門的で長期間のリハビリを受ける施設がないなどが挙げられます。
しかし将来、医療の技術革新もあるので、完全な推測は困難です。それを踏まえても2030年まで慢性期の脊髄損傷の方は現状のままであると思っています。
20歳以下の方は慢性期であっても完全損傷、不全損傷とも予想がつきません。
継続的に歩行訓練をしている、もしくは立位をとっている方は再生医療で歩行再建の可能性があるかもしれません。
【再生医療すれば、立てるのか?歩けるのか?】
再生医療を受けたら、翌日から「足が動いた、歩いた」という話はないでしょう。再生医療は治療のスタートであり、そこから足が動くように、歩けるように長期間のリハビリが始まるのです。しかも、動かしていればいいというわけではありません。
がんばって筋トレばかり、また、がんばって立位訓練ばかりしていると、再生医療で成功したとしても痙縮が強くなって「動いても動けない体」になってしまいます。
結果的に「完全損傷の時の方が楽に動けた」となり、何のための再生医療だったのかという議論が出てくる可能性もあります。
実は慶応大学の岡野先生は再生医療の後のリハビリをどうするかは、大きな課題であると述べております。そのリハビリについては臨床的に未知です。
私の意見には否定的な内容があったように思えたかもしれませんが、私は再生医療に大きく期待する1人であり、再生医療後の専門的なリハビリにチャレンジしたいと思っている1人です。
(2016.1現在)